草の上から
青苧復活夢見隊:2014/08/08
「猛暑」が毎日のように聞こえてくる季節になりました。
と同時にこの時期は草の伸びも猛烈です。
刈っても抜いてもまたすぐ出てくる。
野菜農家さんなどは、一通り草取りをしてスタート地点に戻ってみると、またすぐに草に追われるといいます。
とにかくうらめしい、草なんてなければいいのにと思いたくもなりますが、もし草が生えなかなったら土も豊かになりませんし、いい作物も取れません。
草が全く生えなくなってしまって、人工的にこれをやろうと思ったら、とんでもないお金と手間暇がかかります。
そう思うと、ただで勝手に生えてくる草はとても有難い存在です。
今年の青苧の刈り取りも今週で終わりましたが、青苧も考えてみると毎年毎年勝手に生えてきます。
多年草とは言え寿命がありますから、年月が経つとだんだん最初の頃のようには行かないのかも知れませんが、とにかくその旺盛な生命力には感服します。
大体、植物というものは上に上に成長します。
私は昼休みには大抵畑で横になって休んでいるので、草がとても身近です。
そのまま寝入って夢を見ている時もあります。
最近は「夢をチカラに」とか「夢をカタチに」といった言い回しもよく耳にもしますが、「将来の希望」といった意味で使われるようになったのは「Dream」を訳した明治以降だそうです。
それ以前は、どちらかというと「儚いもの」という意味で使われていたのではないでしょうか。
そもそも夢の語源は、「夕暮れに草むらで何か見ようとするが何も見えない」というものです。
転じて、目をふさいで見る夢の意になりました。
夢は目で見るものであって、かつ儚いものということがよく分かります。
対して、古来から使われてきたものに志があります。
「志」という字は、草木が伸びてゆく姿をかたどった象形文字の「之」の古形と、心臓を示す象形文字の「心」を組み合わせたものだそうです。
また、「之」は足の形が変形したもので「行く」という意味があります。
つまり、心が目標を目指して進み行くことを表しています。
心と足が組み合わされていることで、より具体的な行動につながることが連想出来ます。
私自身の印象で言うと、夢は個人的なもの、志は自分がその力を発揮することで社会の役に立つ、より公共心に富んだものという感じがします。
また、夢が対象を自分以外のものから見つけてくるのに対して、志は自分自身の中から探し当てる、あるいは湧き立ってくるものといった感じです。
どちらの字にも草が関わっているのは面白いところです。
日本人は世界に類を見ないほど和を尊ぶ、公共心が高い人種ということを考え合わせてみても、「夢」以前はそれぞれが分を守って公のためを一番に暮らしてきたのではないでしょうか。
西洋からやってきた「夢」が志を向こうに追いやった感のある現代。
これからは夢を追い求めるよりも、原点に帰って静かに志を見出す方向にシフトしていくのも一考です。
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