お知らせ

ハエに追われ、ミジンコに負ける日

青苧復活夢見隊:2014/04/29

昨年七月に訪れた「越後青苧の会」さんから青苧の根を分けて欲しいというリクエストを頂きました。

今日は久しぶりにメンパーが会して、その根っこ取り作業を行ないました。

 

普段知ってる人でも久しぶりに会うとなると、なんとなく気恥ずかしい感じがするものです。

見た目にも「あれ、少しやせたかな」とか「髪型変えたな」とか多少の変化が見られ、気持ちの面でも馴染むまで少し時間がかかります。

人の体は三ヶ月で全細胞が入れ替わるというのですから、久しぶりに会ってちょっとした戸惑いを覚えるのも無理はありません。

 

そういえば、遺伝子の数というのは、人で2万2千個、ハエでも1万数千~2万個だそうです。

「万物の霊長」たる我々とハエとの差はわずかということでこれだけでも驚きですが、さらにびっくりなのはミジンコで3万1千、植物のイネに至っては3万2千個という事実です。

先頭をぶっちぎりで走っていると思われた人間は、遺伝子数レースにおいてはイネやミジンコに何馬身差も開けられていたのです。

 

ミジンコの遺伝子数が多いのは、昔から環境変化に対して、いろいろな反応をしているからということのようです。

例えば、ミジンコは自分が食べられそうになるとトゲを生やすなど体の形を変化させて、捕食から逃れようとします。

また、水中の酸素が少なくなると、ヘモグロビンの量を何十倍にも増やして赤くなったりします。

周囲の環境に合わせて速やかに自分を変化させる能力が人などに比べ突出しているわけです。

そうして、どの生物よりも速いペースで自らのクローンを作って繁殖する際に、遺伝子の数も倍増していくのだそうです。

 

そうすると、種の生き延びる能力の優劣というのは、身体の大小や頑強さではなくて、周りに合わせていかに柔軟に対応できるか、自分を変化させられるかということになります。

イネが人やミジンコよりも遺伝子数が多いのは、植物は基本的に場所を動かないため、より環境に対する適応能力を持っているからではないかと思います。

 

そうした目で見ると、スコップで力任せに掘り返している青苧の根っこもとんでもなく高等な生命体であと思えます。

「俺たちの知らない能力どれだけ隠してんの?」と思います。

果樹栽培でも、いろいろと勉強して良かれと思ってやったことがかえって仇になることもあり、彼我の疎通の難しさを痛感することはしょっちゅうです。

相手のことを知らない内は、余計なことは出来ません。

 

こうして、自分の脳みそと植物とで見えない会話をする楽しさはやはり現場に出ないとわかりません。

今年も青苧の作業がスタートを切りました。

変わらず日々の雑感を記していきたいと思います。

 

あおそなでしこ

青苧復活夢見隊:2014/02/09

東北生活文化大学家政学科服飾文化専攻さんの展示会「RAMIE×RAMIE」に行ってきました。

この日は東日本太平洋側を中心に記録的な大雪!

翌日のニュースでは仙台の積雪量はなんと78年ぶりとなる35cmを観測したとのことです。

78年前というとうちの親父もまだ生まれていません。

普段、山形で見慣れている雪景色も仙台で見ると、まるで心象が違いますねえ。

山や川に降るのと、コンクリートに降るのとでは感じ方も随分違うものです。

会場のすぐそばまで来ているのに、道路に出してあった企画展の看板も雪で真っ白になっており、たどり着くのも一苦労でした。

 

家政学科服飾文化専攻さんは2013年4月から青苧をメイン素材としてファッションアイテムを企画・設計するプロジェクトをスタートさせており、今回はそのお披露目です。

展示会のコンセプトは「あおそなでしこ」。

青苧の強さ美しさと、サッカーのなでしこジャパンに象徴されるような現代の女性の力強さ、輝きをかけ合わせたイメージです。

青苧は何より繊維が丈夫だし、きらきらとした美しさを感じる素材なので、青苧製品を身につけた女性にも健やかに輝いてもらいたいという願いが込められているようです。

イメージキャラクターの「ラミーちゃん」やポスターのデザイン等にも若い女の子らしい可愛らしさが溢れていました。

会場の「ライトソース」は10人も入れば手狭でしたが、学生さん達の笑顔とハツラツさで展示スペースはとても明るかったです。

 

それにしても「あおそなでしこ」とは良いネーミングをしたものだなあと感服しました。

語呂もいいし、意図もよくわかるし、「やまとなでしこ」もいいけれど、「あおそなでしこ」も負けてないんじゃない?

私には学生のみなさんが「あおそなでしこ」に見えました。

 

学生さん達も夏に畑に来て、刈り取りや苧引きの体験をしていたこともあり、生産段階からの素材を知っていたことは製品を作る上で大きかったのではないかと思います。

その過程を知っているもの同士だと、また話の中からいろいろなアイデアが出たりして、みなさんの若い感性と夢見隊のメンバーの持つ知識、経験がうまいこと融合できれば最高です。

青苧に興味を持ってもらって、こうした形で取り扱ってくれるだけでも広がりを生むという意味で大変ありがたいことです。

 

今年も継続して取り組んでいただけるとのことで、これからさらに良い形にしていきたいですねえ。

 

ウーピー

青苧復活夢見隊:2014/01/25

親しくさせてもらっているお店があります。

大江町にあるナチュラルカフェ・ウーピー。

先日久々にお邪魔しました。

 

ウーピーは物腰やわらかで滋味あふれる旦那さんがシェフを担当。

ハーブの資格を持つ奥様の気楽なもてなしが楽しい、時折思い出したように行きたくなるお店です。

初めて行った時は味がおとなしく感じられ、物足りないと思ったものでしたが、お店に通う内にそれは化学調味料の味に慣れた自分の間違いだったんだなあと思うようになりました。

食材はおそらく自分たちが本当にいいと思ったものだけを使ってらっしゃると思いますし、奥様が栽培されているハーブを使ったハーブティーも心がほんわか温まります。

仕事で忙しいときや疲れている時に行っても、ウーピーにいる間だけはそうしたことも忘れてくつろげます。

 

そのウーピーさんで青苧入りのパンもメニューに登場しています。

夢見隊で作っている青苧ペーストを使っていただいてます。

青苧自体に味はないものの、ミネラルを始めとした栄養成分の含有量は多く、たとえ少量でも体には嬉しい、生産者としてもおススメの一品です。

 

農業の世界でも鉄、硫黄、銅などの微量ミネラルのことを微量要素と称して畑に施したりしますが、正確に言うとミネラルとは元来鉱物のことで、鉄、銅、カルシウム、マグネシウムといった元素のことはエレメントと言います。

英語ではちゃんと分けられているのですが、日本ではなんとなくごっちゃになってしまっています。

日本式にミネラルで話を進めますが、ミネラルはタンパク質や炭水化物のようにたくさんの量を必要としませんが、いざ欠乏すると人間でも植物でも深刻な影響が出ます。

野生動物はもしミネラルが足りなくなったとしても、本能的に石を舐めたりして補給してますので、彼らがミネラル欠乏になることはまずないと思います。

ミネラルが不足すると、いくらタンパク質や炭水化物、脂質、ビタミンを摂っても、その中心となるミネラルがないとそれぞれの栄養素が機能しません。

厳密にはミネラルが酵素を働かせる結果、機能するわけですが、とにかくミネラル不足は百害あって一利なし。

食材の栄養成分量が低下し、化学調味料、添加物といった食品が蔓延している現代においては、特にミネラル不足は健康の大敵です。

鉄やカルシウムなどのサプリメントを摂っている方もいると思いますが、単一のミネラルだけを摂取するとかえって害になることもありますので、ミネラルは食事の中で多くの種類をバランスよく摂ることが大事です。

 

食べ方一つでも和やかに楽しく食事をすると太らない、反対に暗い気持ちでもそもそ食べると太るという研究もあります。

体は資本、その体の資本は食べ物ですので、時にはウーピーさんのようなお店で食事をすると体も喜ぶでしょう。

 

私は別にウーピーの回し者ではありませんが、子供の肥満、新型栄養失調、アトピー、精神異常といった現代の食生活の乱れから来るあらゆる問題を思う時、食のことを考えるのはとても大事です。

そうした意味からもウーピーさんとのご縁を嬉しく思っています。

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