お知らせ

焼畑2013

青苧復活夢見隊:2013/05/19

今回はピンチヒッターRちゃんの執筆でお届けします。

 

本日、橋上地区春日神社裏の青苧畑で焼畑が行われました。雨もなく、晴れすぎず、本当に良い日和でした。

 

今年は総勢30名以上の方が県内各地から参加。所属も興味分野も様々。もちろん芸工大からも学生と先生が駆けつけてくれました。毎年、参加人数を更新していきます。この調子だと来年は…。

 

朝8時半、春日神社に集合。作業の安全を祈願し、新隊長である新蔵さんの号令で作業開始です。
作業は、新芽の摘み取り→藁敷き→火入れ→施肥の順で進みます。

 

まずは新芽摘み。
夢見隊では、新芽の葉は真麻冷や麦、うどんの材料に。茎は塩蔵して、町の「伝統食のつどい」や文化祭、ツアーのお客さんへのお料理へ使います。

 

豚肉との炒め物も美味しいですが、シンプルにおひたしもオススメです。新芽はクセもなく、青苧独特の香りを楽しめると思います。

 

次は藁敷きです。
焼畑の目的は主に、
1.害虫、その卵の駆除
2.畑の中和
3.芽揃い です。
まんべんなく焼けるように、均一に藁を敷いていきます。
敷き終わったら、中休み。
畑の端っこで1歳から83歳まで、みんな一緒に休憩。この日は初対面の方がほとんどで、様々な出会いが重なった日でもありました。
生まれ育ったところ、住んでいるところ、所属や仕事、年齢、興味関心。バラバラなのに『青苧』というキーワードで繋がって、山形や大江町、青苧や機織り、農業などの未来や可能性について語り合っているのはなんとも不思議で、心地いい時間でした。
青苧の復活だけでなくて、こういう場所作りの機会も生み出せていけたら素敵ですね。なんだか、新しいモノが生まれてくる気がします。
10時半になり、風も少し出て来たのでいよいよ火入れ開始‼
ジワジワと燃え広がっていきます。20分程で畑一面を焼き尽くしました。危ないこともなく、無事に火入れが終わり一安心です。そのあとは、皆並んで肥料まき。一列に並んで撒いていたはずが、いつの間にか自分の列を見失って…。これは毎年の課題ですね。横並びがいいのかな。
何はともあれ、今年の焼畑も無事に終了いたしました。

 

最後は直会!
お母さんたちお手製のゆかりを使った火伏せおにぎり、山菜たっぷりの山賊汁、おひたし、玉コン、キュウリのビール漬け。
採れたての山菜ほど贅沢なものはありません。ご馳走さまでした。

 

あとは防風ネットを設置して、約2ヶ月後の刈り取りを待つばかり。
今年の成長具合は⁉天候は如何に⁉乞うご期待です。
参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました。刈り取りや伝統食のつどい、来年の焼畑にも是非、またお越し下さい。
※刈り取り体験は随時受付中です。7月中旬から8月上旬まで受け入れ可能。参加費は一人500円。お問い合わせページからお申し込みください。

 

 

馬医草紙絵巻

青苧復活夢見隊:2013/05/16

先日、葛布展で山形に来られた大井川葛布の村井親方と飲んだ際、貴重な情報をいただきました。

かつて、馬の体調が悪いときには青苧を薬草として用いたのだそうです。

その巻物が東京国立博物館にあるということで、早速行ってきました。

 

五月の東京は素晴らしい。

まさに風薫る五月という言葉がぴったりです。

時節の素晴らしさに加え、博物館のある上野公園は外国人もいる、幼稚園児もいる、たくさんの芸術作品に囲まれ、人々は皆こざっぱりした格好で楽しそうにゆったりと歩いてる。

この世の極楽という感じです。

山手の奥様方の会話が洩れ聞こえてくるだけでも楽しく過ごせます。

 

さて、親方からのキーワードを頼りに受付で問い合わせたところ、色々と調べてくれました。

出てきたのは「馬医草紙絵巻」。

現在は展示中ではなく、6月25日から8月4日の期間で公開されるとのことでしたが、絵巻のどの部分が展示になるかは学芸員の判断によるらしく、博物館を訪れても青苧が描かれた箇所を見ることが出来るかどうかは分からないとのことでした。

ということで、気を利かせてくれた受付のおねえさんが東京国立博物館のホームページから画像を見せてくれました。

薄暗い館内で離れて見るよりかえってこちらの方がよく分かります。

 

青苧は別名、苧麻やからむしとも言いますが、コロモグサ、カラソとも言うのだそうです。

画像を見ると、青苧の図と一緒に衣草、唐苧の文字を見ることが出来ます。

この馬医草紙絵巻は鎌倉時代に作られたもので、当時、武人の宝であった飼馬の薬法を記しています。

馬医道の守護神である伯楽、神農など和漢十人と共に、青苧を含む17種類の薬草が紹介されています。

青苧は鉄分、ビタミンも豊富ですが、やはり繊維質が多いですから、馬の体調不良を治すのにはもってこいだったのでしょうか。

昔我が家で買っていた犬も体調が悪いときにはその辺の草を食べていました。

 

ちなみに「医」という字は太古には「毉」という字が使われ、紀元前後に「醫」に変わり、現代は「医」が使われています。

パソコン上ではちょっと分かりづらいですが、古代の医には「巫」という字が使われています。

巫は「神の意思を伺うことのできる人」という意味で、神仙や精霊から病気の原因や治し方の情報をもらっていました。

醫という文字には酉、酒つぼという字が使われています。

薬草を発酵させた薬酒が使われたのでしょう。

そして現在は、自然科学が進歩し、物理学や化学による医療が行われています。

文字の変遷とともに、医療の内容も変わってきたのです。

 

さしづめ、この絵巻を的確に表すなら「馬醫草紙絵巻」となるでしょう。

実際、戦前までは醫の字を使っていました。

同じことは麻薬の字にも言え、本来はしびれるの「痲」を用いて「痲薬」と書くべきところ、現在は植物の麻の字が使われており、世間に麻(大麻)の誤ったイメージを与えてしまっています。

 

ちょっと話が飛んでしまいましたが、お馬さんは青苧食べてたんですね。

それも鎌倉時代ということですから、800年前のことです。

鎌倉時代より前にそうした使われ方をしていた可能性も大いにあり、食歴ということで言えば最低800年はあることになります。

大事な馬に食べさせていたもの、人間も食べていた可能性はあるんじゃないですかね。

これ立派な食歴になりませんか。

 

それにしても世の中には隠れたものがきちんと存在するものですね。

「医」が表面的な肉体の世界しか見ていないのに対し、自分の視点も「醫」、さらには「毉」と広げることが出来れば、世界はもっと豊かに見えてくることでしょう。

 

春の夜なべ

青苧復活夢見隊:2013/05/10

ゴールデンウィークも過ぎたというのに、まだこたつとストーブが仕舞えません。

果樹もこのところの低温の影響で受粉がままならず、やきもきしています。

今年の春はお天気気まぐれです。

 

さて、まだ雪のあった頃から頼まれていた和紙用の青苧をようやく切り終えました。

3,4月は何かと夜から出かけることが多く、夜なべもはかどらず仕舞いでした。

春の夜なべは冬の夜なべとはまた趣が違います。

冬はしっかり睡眠をとらないとなかなかしんどいものがありますが、春は朝が早くなっても自然と目が覚めるし、多少寝不足でもそれほどつらくありません。

季節季節で体も睡眠に対するものが違うんですね。

そんなことで、春の夜なべはなんとなく気持ちに余裕を持って行えます。

 

和紙用の青苧は1m50cmほどある原麻を5mmほどの長さに切っていきます。

今回必要な量は200g。

たったそれだけの量でも5mmで切っていくとなると結構な根気が要ります。

程度が分かり、リズムに乗れればいいのですが、最初の内は長さが掴めず、何度も定規を当てていました。

ただ、こういう地味で根気の要る仕事は、量が貯まっていくとそれがまた快感に変わっていきます。

一日で出来る分は知れていますが、それが何日も積み重なってだんだん山になっていくと、にやっとしてしまいます。

ただ、200gといっても片手で持てるジュースなどだとなんとなく当たりも付けられますが、青苧のようにもともとが軽いものだと、重さがよく分かりません。

まだまだ~と思いながらふと量ってみると60gもオーバーしていました。

 

神社では米や酒など様々なものが奉納されますが、一番厚遇されるのは麻だそうです。

伊勢神宮に大麻を奉納した方から、直接そのお話を聞きました。

確かに大麻は古来から様々な場面で生活の役に立ってきたものですし、きらきらした精麻は神々しくさえ見えます。

精神的な寄り代としても大きな役割を果たしてきたことでしょう。

 

青苧も切り終えてふと見ると、なかなか美しいものでした。

自分が夜なべしたという肩入れはあるものの、この美しさが和紙に漉かれると思うと、それはまた純粋にいいのだろうなあと思います。

 

青苧は丈夫で切れないことから、身体堅固や安産祈願にも使われてきました。

今回は和紙用ということで切ってしまいましたが、出来たものを見ていると神々しくも見え、青苧も奉られるものであってもさもありなんと思います。

 

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