考える葦
青苧復活夢見隊:2012/09/25
山形大学農学部の江頭宏昌先生にお会いしてきました。
先生は映画「よみがえりのレシピ」でお馴染み。
私も去年、友達と映画館まで足を運んで鑑賞しましたが、作物が人の手によって大事にされ、そしてまた人に喜びを与えてくれるシーンの数々を見て、「農家でよかったなあ」と感激しました。
今回はひょんなことからつながった先生に実際に青苧のペーストを見ていただきたく、先生の研究室までお邪魔したのでした。
先生もご多忙でじっくり話をする時間もなかったのですが、その中で抗酸化作用の話が出ました。
青苧の葉っぱをペーストにする作業の際も手早くやらないと葉っぱが茶色に変色し酸化します。
巷でもアンチエイジングとやらでどんどん抗酸化の食品やサプリメントを摂りましょうとやっています。
そこで抗酸化作用に効果があると思われる食品成分を調べてみると、わんさか出てきました。
成分だけでも亜鉛、ビタミンA、ポリフェノールなどよく知られているものから、ピクノジェノール、メラノイジン、ラクトフェリンといった初めて聞くものなど数え切れないほどあって、さらにその成分を含む食品となると、めまいがするほどたくさんです。
ちなみにピクノジェノールを含む食品は松の皮だそうです。
メラノイジンは醤油、ビール、コーヒー。
ラクトフェリンは牛乳、チーズ。
亜鉛やビタミン群となると穀物から肉、魚、野菜、果物に至るありとあらゆる食品に含まれます。
そうすると、付け焼刃で勉強した結果としては、ほとんど全ての食品に抗酸化作用があるんじゃないのということになります。
戦争終結後29年目にしてフィリピン・ルバング島から帰還された小野田寛郎さんも「自分が食べたいと感じたものを食べるのが一番健康にいい」というようなことを仰っていました。
分析やデータというのは、その事象を知るためには非常に役立ちますが、人はものを頭だけで食べるのではなく、気分や雰囲気、体調、場所や五感などを密接に関係させ合いながら味わっています。
それに一物全体ですから、一つの食べ物の中にはいろんな栄養素があるはずです。
何でも頭で理解してからじゃないと行動できない現代人は頭を使い過ぎ。
久しぶりに大学構内に入って頭を使った結果、あんまり頭を使い過ぎない方がよさそうだという結論を得たのは、頭でっかちな話でしょうか。
寝るは力
青苧復活夢見隊:2012/08/24
お暑うございます。
まったくもってお暑い限りでございます。
盆が過ぎ、プールが終わり、子供たちが学校に行きだしても一向に涼しくなる気配がありません。
それどころか雨さえも降らない。
予報を見ていると午後など雨マークの日も多く、その度に「今日こそは!」とお空を見上げるものの、無情なるかな、一滴さえも降って来はしないのであります。
「降る降る」と言っておいて降らない。
振り込み詐欺の場合、振ってしまうと騙されたことになりますが、お天気の方は降らなくて騙される。
それならいっそのこと降る降ると言わないで欲しい。
なにせ気温35度にもなんなんとする真昼間、自分の影以外の陰が見当たらない中で照りつける太陽を全身に浴びて仕事をしている人のことも考えて欲しい。
天気予報士さんは予報が外れても肉体的ダメージを被ることはないのでしょうが、太陽を遮るわずかな雲や、体を吹き抜ける一秒の風をさえ切望する農民としては「降る降る」と言って降らないときのがっかり具合は半端ないんですから。
一日の仕事を乗り切るのが本当にやっとこさですから、天気予報士さんはそういった外で仕事している人のことも考えてもらえるとだいぶ株も上がると思いますよ。
とまあ、予報士さんに当たってもしょうがないのですが、ともかく暑いのは変わりありません。
そして、ピンチの裏にチャンスありというべきか、冬以来音沙汰なしとなっていた青苧パッドの寝心地をリポートするにはこれ以上ない環境となりました。
なにせ暑いのです。
山形が全国の最高気温であった日も一日や二日ではないはずです。
夜、床に就く前、「果たして今日は眠れるだろうか」などと考えているくらいなのですから並みの暑さでないことは間違いないのです。
去年もお盆までは暑かった。
私も布団にゴザを敷いて寝ていました。
ところが去年以上に暑さの続く今年は一回もゴザを使っていません。
使わないと無理!ということもない。
眠れるかな、と多少悩みはするものの、少なくとも布団が熱くて眠れないという日はありません。
科学的、医学的データは何もなく、論文もありはしませんが、五感で感じる限りは青苧パッドは熱くない。
暑さに対する慣れもあるでしょう、昼間に比べればいくらかは気温も下がっているでしょう、青苧パッドが熱くあって欲しくないという願望もあるでしょう。
それでもひと夏の経験を頼りに個人的見解を申せば、「青苧パッドは熱くない」と言っちゃっていいんじゃないかと思います。
「冬は冷たくはなかった」「夏は熱くなかった」というどちらもなんとなく切れのないコメントではありますが、実感としては間違いないです。
昔、ジャイアント馬場さんは「一つのことしか出来ないのはちんばだ」と言いました。
(注:ちんばとは、対になっている物の形・大きさ・色が揃っていないこと。例えば左右の違う下駄など。本来の用途とはやや違うような気もしますが、馬場さんの言わんとすることはお分かりいただけると思います。)
青苧パッドは冬は冷たくない夏は熱くないのですから、馬場さんの言うちんばでないのは明白。
一面に秀でるのはもちろんカッコいいですが、二つ、三つと引き出しを持っているのもなお魅力的。
世間一般での知名度も低く、四の五の言わない青苧ちゃんですが、目立たないところでしっかり仕事をこなす実力は相当です。
馬場さんに出しても恥ずかしくありません。
暑さ寒さも彼岸まで。
彼岸まで暑いのは勘弁して欲しいですが、この青苧ちゃんとなら乗り切っていけるかな。
そんな自信も持てる今年の夏です。
七人の
青苧復活夢見隊:2012/08/04
7月16日からスタートした刈り取り&苧引き作業も早三週間近くが経ちました。
今年はメンバーのやり繰りに苦労するなどしてなかなか作業もはかどらないところ、今日は七人の芸工大生が体験&お手伝いに来てくれました。
朝仕事の刈り取りと朝食を済ませ、皆が来るまでと神社の外廊下でゴロンとなっていた私の耳に、目覚まし代わりの華やかな声が近付いてきました。
慌てて起きるとそこには一人の青年と六人のお嬢さん方。
柏倉隊長と挨拶を交わしている様子を私は斜め後方から手摺に乗り出して眺める格好となりました。
もしも私が日本映画の風来坊のように粋な存在であったなら、ここは印象的なシーンになるところでしょうが、私に気付いた隊長の「おお、内海さん!そこにいたか!」の一言で皆が振り返った視線の先は寝ぼけ眼の私であったので、黒澤明監督ならずともカット間違いなしのなんとも締まりない登場シーンとなったのでした。
引率してくれたRちゃんの他は皆初めての青苧畑だったので、教える側の気分もフレッシュそのもの。
押し切り器でざくっと茎を裁断すれば「すごーい!」と黄色い声。
苧引き具を表皮の裏に当て、ピッと引けば「はやーい!」とこれまた黄色い声。
教えるということは楽しいもんです。
今年は新卒社会人、小学生、大学生と年代の違う人たちと苧引き体験をさせてもらいましたが、やっぱり若い人はいい。
感性がみずみずしいです。
お昼は隊長の奥さん、みっちゃんお手製の馬鈴薯汁を皆で囲みました。
神社の境内で食べるご飯もまた最高。
七人の若者たちも腹がきつくなるまで堪能したようです。
若い人が来れば高齢のメンバーも自然と元気。
隊長の「いっぷぐだあ~!(一服の意)」の掛け声も今日ばかりは一オクターブ高く聞こえたのでした。
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